「初恋、ざらり」感想(微ネタバレあり)

「初恋、ざらり」

上下巻一気読みしてしまいました。感想をツイートしようと思ったら140字で収まらなかったのでここにまとめます。

軽度の知的障害があって、劣等感まみれの主人公有紗ちゃんがすごく自分と重なった。

障害は個性とか言うのは簡単だけど、綺麗事だけではやっぱりやっていけなくて、たとえ障害込みで自分を認めてくれる人が現れたとしても、一筋縄ではいかない。それは私もかなり実感としてあります。

私も発達障害があって、「なんとなくみんなと違う」っていうチクチクした違和感を幼い頃からずっと感じてきたし、その違和感を抱えながら生きていたら自分を愛してくれる人が現れても素直になれない。なんで上手くしゃべれないんだろう、あるいはしゃべりすぎてしまうんだろう、なんでみんなの輪に入っていけないんだろう、そんな劣等感でいっぱいなんだから、素直に受け取れない。

愛を素直に受け取れないというか、いつかこの人は私を捨ててしまうんじゃないか、本当に私のことが好きなのか、どうせ出来ない私のことを本当は迷惑に思ってるんじゃないか、みたいな不安は障害がなくても感じたことがある人はいると思う。

でも、大切な人を想う気持ちはあって、しかしながらすっごく不器用で、不器用ながらに真っ直ぐ頑張る有紗ちゃんはすごく愛しかった。

私も今の彼氏とは今年で出会って丸3年になって、もちろん私に障害があることは理解してくれていて、「理解のある彼くん」なんてネットスラングがあるけども、何も障害のことを教科書的に理解して知識が豊富である必要はなくて、実際に関わっていく中で、この子はこれはイヤでこれは嬉しいんだな、これは得意でこれは苦手なんだな、みたいに一つ一つ学んでいって歩み寄る姿勢こそが「理解」なんじゃないかなーみたいに思うわけです。それこそ「初恋、ざらり」の岡村さんも、障害に対する知識はなかったにしろそんな風に一緒に過ごして行く過程で経験として学んでいっていたんじゃないかなと思います。上から目線で障害のことを理解してあげよう、みたいな感じじゃなく、ひとつひとつ相手自身のことを知っていく過程は、障害があろうとなかろうと恋愛においては大事だと感じています。

有紗ちゃんは途中で岡村さんを拒絶してしまったけど、最終的にはしっかりハッピーエンド。

私も自分なりに、大切な人は大切にしていこう。

そう思わせてくれた作品でした。

めちゃ名作です。ぜひ皆さんも読んでみてください!

f:id:lemonnakajima:20230801211130j:image